ロンリーファイト

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建設プロジェクトの成功を決めるフレームワークの作り方

とかく四則演算的に仕事が進むところに罠は潜む。

ある条件から検討して生み出され構成された建設プロジェクトのフレームがある。
そのフレームをベースに発注者が新たな条件を付け足す。

ここで重要なのはその条件が建設プロジェクトの根幹にかかわるかどうか。
簡単にいえばフレームが変わるかどうか。

ディテールを付加することはさほど難しくない。
フレームを触ることがないからだ。
単純な足し算。

けれどもフレームの足し算、引き算はゼロベースからの検討となる。
つまりはやり直し。

フレームの重要性がわからない偉い人や発注者がそこに手を入れると大変なことになる場合がある。
部分を成立させるために、構成を変えてしまう。

そして出来上がった自分たちの意見が反映されたオリジナル作品。
発注者の意見を尊重したプランの出来上がり。
その時の顧客満足度はグッとあがる。

途中段階ではあるが、良いものが出来たという成功体験の共有。
勿論、営業手法としてはあり。
もしかすると多くの注文住宅はこうやって出来上がるのかもしれない。

かりそめの成功体験はこの後もプロジェクトの足を引っ張ることになる。
フレームの重要性がわかっていない人がかりそめの成功体験を一度味わうとそこに執着する。
誰もが陥りがちな罠。

けれども、そのままでは最終的な顧客満足度を得ることは難しい。
出来上がりで顧客の想像を超えることもなく、使い勝手さえ一定の満足を得られない可能性もある。

普段の仕事や一級建築士の製図試験でも同じことがいえないだろうか。
検討の途中段階で生まれたグッドアイデア
浅い検討の中で見えた勝利への活路。
勘違いしたアハ体験。
そこへの執着は建設プロジェクトの成功を遠ざける。
そして、目的さえも見えにくくさせる。

さて、重要なポイント
”執着”
例えば、間違った方向に進んでいることに途中で気づいたとしても。
結果としてトータルで考えると良くないことがわかったとしても。
時間をかければかけるほど元に戻ることが難しくなる。
かけた時間の分だけ愛が着いて”愛着”となる。
そして行きつく先はプロジェクトの成功からかけ離れた自己満足のみ。

時間をかけるべきはフレーム
プロジェクトの全体像を抑えたうえで、見えないリスク(落とし穴)が多数あることを前提に建設プロジェクトのフレームを構成する。

フレームを作るうえでのポイント
予想外の”落とし穴”をかわす余裕をもったスタンダードとすること。

余裕と無駄とは全く違う。勘違いされるひとも多い
”余裕”を”無駄”と捉える人の中には余裕を削ることにだけに執着するひとも少なくない。
わかりやすく数字が変化するからだ。
本質的には逆効果だけど、その瞬間は仕事をやっている気になる。

検討を進めないと見えない”落とし穴”はかならずある。
そして、検討しても見えない”落とし穴”も少なくない。


最後に建設プロジェクトの成功を決めるフレームワークの作り方のまとめ

フレームワークの基本は、条件がすべて出るまでは、そのリスク分の余裕をもったスタンダードにて進める。
要求と問題点、落とし穴をすべて抽出するためのベースとなるフレームもあったほうが良い。
そして、それらをすべて抽出したうえでの最適なフレームをつくる。
ディテールとだれでもできる単純なロスカットはそのあと。

だれにでも一瞬で良さが伝わるシンプルなフレーム
執着が生まれる前に心の切り替えを行うリスタート

付け加えるならば、ステークホルダーの凝り固まった頭をやわらかくする準備もあったほうが良い。
アイスブレイク
これも余裕のひとつ。決して無駄ではない。

結果は数字になる。
だけど建設プロジェクトの過程やフレームワークの価値は数字化しにくい。

だからこそ

結果を生み出すための価値のあるフレームワークは、最後には必ず人の感情を動かすはず。